母乳が思うように出なかったり、赤ちゃんがうまく母乳を吸えなかったりして、粉ミルクだけで成長する赤ちゃんも少なくはありません。 赤ちゃんの免疫獲得や母体の回復を考えると母乳育児が望ましいとはされていますが、粉ミルクには粉ミルクのメリットとデメリットがあります。ここでは粉ミルクでの育児についてご紹介していきたいと思います。
■目次
粉ミルクのメリット

- 母乳に負けないくらいの栄養がたくさん含まれている。
- 母乳に比べると腹持ちがよく、授乳間隔があく。
- 赤ちゃんが実際にどのくらいの量を飲んでいるかが把握できる。
- パパなどの他者でも授乳できる。
- 人目が気にならず、場所を選ばず気軽に授乳できる。
- ママは食事に気を遣わなくていいし、薬も飲める。
- 乳房のトラブルがない。
- 卒乳をスムーズに行うことができる。
最近の粉ミルクは改良がすすみ、母乳に近い味や栄養を備えたものがつくられています。母乳での育児が困難で落ち込むこともありますが、粉ミルク育児でのメリットを活かして楽しく子育てをしていってみてはいかがでしょうか。
粉ミルクのデメリット
- 母乳で得られる免疫成分が粉ミルクでは獲得できない。
- 粉ミルク代がかかる。
- 調乳・消毒などの手間と時間がかかる。
- 外出時に哺乳瓶などの荷物が増える。
- 母体の回復が遅れる。
調乳や哺乳瓶の洗浄・消毒といった手間がかかることや、外出時に哺乳瓶など持参する荷物が増えることは母乳育児とは違った粉ミルク育児でのデメリットでしょう。
粉ミルクの種類
- 缶入りタイプ:経済的でミルクの量も調整しやすい。開封後は1ヵ月以内に使いきること。計量の手間がかかる。持ち運びに不便であるが、外出専用の持ち運びケース(ミルカー)などもあり利用するとよいか。
- スティックタイプ:100mlの個包装であり、持ち運びに便利。缶タイプに比べ賞味期限を気にしなくてよい。軽量の手間はないが、量の調整はしにくい。
- キューブタイプ:スティックタイプ同様、持ち運びに便利で作るのが簡単。1キューブ40mlなので、スティックタイプに比べ量の調整が可能。値段が缶に比べると高い。
粉ミルクの作り方

ここでは基本的な缶ミルクの作り方を紹介していきたいと思います。
- 手をしっかりと洗い、消毒した哺乳瓶を用意します。
- 70℃くらいのお湯を作りたい量の半分いれます。(100ml作る時は50mlいれる)
- 粉ミルクを缶の指示量いれ軽く振って混ぜる。(20ml=1杯なら100ml作る時は5杯)
- 作りたいミルクの量になるまで湯か湯冷ましを足して混ぜる。(100mlの目盛りまで湯を注ぐ)
- 哺乳瓶を流水に当てるか冷水の入った容器に入れ人肌くらいの温度にさます。腕の内側に落とし、やや熱く感じる程度が適温です。
ミルクの飲ませ方

- 姿勢:楽な姿勢でゆったりと赤ちゃんを抱っこし、顔を見て時々話しかけながら飲ませましょう。
- 哺乳瓶の角度:赤ちゃんの口に哺乳瓶の口をしっかりと含ませます。哺乳瓶の角度は水平にならないようにし、乳首がミルクで満たされていることを確認します。ミルクが減ってきたら少しずつ角度を上げていきましょう。一般的には赤ちゃんの口に対して90度の角度で飲ませるとよいとされていますが、個人差もあるので赤ちゃんに合わせて少しずつ調整していってみましょう。
- 哺乳瓶のキャップ:哺乳瓶のキャップを強く締めすぎると圧力が強くかかり、赤ちゃんがミルクを吸い出すのに疲れてしまい飲み切らないことがあります。ミルクがこぼれない程度に締め、締めすぎに注意してみましょう。
- 哺乳瓶の乳首:いろいろなメーカーが月齢や成長に合わせた哺乳瓶に乳首を販売しています。乳首の口が小さすぎると時間がかかってミルクを飲み切れなかったりするため、赤ちゃんに合った乳首を選びましょう。
- 量と頻度:1日120?160ml×6?7回で、合計約700?1000mlが目安。授乳間隔は消化吸収が母乳にくらべると遅いため、3時間はかならず開けるようにする。
母乳の場合と違い、哺乳瓶はさまざまな部分を赤ちゃんに合わせてカスタマイズできます。
赤ちゃんの飲み方をみて、飲ませ方や哺乳瓶の部品を変えてみるとよいかもしれません。
粉ミルクの成分一覧
母乳に近いミルクを目指して、各メーカーが研究開発している粉ミルク。いろいろと表記してあるものの、どの成分にどんな効果があるのかよく分からないといったことはありませんか?そんな粉ミルクに配合されている成分について紹介していきたいと思います。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
脳内の最も豊富に存在する多価不飽和脂肪酸のひとつ。体内で合成することができず、食物(魚など)から摂取する必要がある必須脂肪酸である。
DHAには、学習能力・記憶力の向上、視力低下の抑制、動脈硬化の予防、高脂血症の改善、血栓の抑制、高血圧の抑制、運動能力の向上、抗アレルギー・抗炎症作用、アトピーの改善などの効果があるとされている。
ラクトフェリン
母乳・涙・汗・唾液などの外分泌液中に含まれる鉄結合性の糖タンパク質。強力な抗菌活性を持ち、乳児にはビフィズス菌や腸内細菌の増殖を促進する働きをもつ。
また、ロタウイルスやノロウイルスなどのウイルスに作用し、感染防御や、発症しても症状を緩和する効果が期待される。
オリゴ糖
母乳中には約130種類のオリゴ糖が存在するとされている。ビフィズス菌などの腸内善玉菌を増やし、同時に有害細菌の定着を阻害する役割を持っている。便通をよくする。
ヌクレオチド
DNAやRNAなどの核酸を構成する構造単位。消化管粘膜の増殖・分化の促進、免疫細胞の活性化、ビフィズス菌などの腸内細菌の増殖促進、脂質代謝改善、鉄の生体利用性の向上など多くの生理機能をもつ。
βカロテン
体内で必要量に応じてビタミンAに変化し、他の栄養素の働きを促進する。また、一部は脂肪組織に蓄えられ、体内に発生した活性酸素を除去する働きをする(抗酸化作用)。
葉酸
水溶性ビタミンに分類される生理活性物質。レバー、緑黄色野菜、果物に多く含まれる。生体内ではヌクレオチド類の生合成に不可欠であり、赤血球の合成に働く。
アミノ酸(グリシン・セリン・メチオニン)の合成や、タンパク質の生成・促進作用がある。皮膚粘膜の強化、口腔粘膜の強化作用がある。
タウリン
生体内で重要な働きを示す分子であり含硫アミノ酸から合成される。消化作用を助けるほか、神経伝達物質としても作用する。タウリンにはコレステロール値を下げたり血圧を下げる効果、肝機能を高める効果がある。
また、目や脳の正常な発達に重要であり、疲労回復の効果もある。生後の赤ちゃんはタウリンを合成する機能がまだ発達しておらず、ミルクや母乳からの摂取が基本となる。
シスチン
タンパク質を構成するアミノ酸。丈夫な皮膚や髪、爪をつくるタンパク質のもとになる。傷の治癒の促進やブドウ糖の代謝にかんよするほか、抗酸化作用、イオウを分離して毒素と結合させ解毒する作用、生活習慣病・がんの予防などに効果が期待できる。
アラキドン酸
不飽和脂肪酸のひとつ。DHAと同じく赤ちゃんの体と脳の発達に欠かせない成分。体内に入ると細胞膜の構成成分となったり、免疫を調整する物質を作り出すなど、体の機能維持に根本から関わる。
また、アラキドン酸は脳神経の発達を促し、記憶力や問題解決能力、言語能力など脳機能を高める働きがある。
ラクトアドヘリン
乳脂肪小球膜に由来する糖タンパク質。
シアル酸
感染、下痢防止、免疫増加、感染防御、脳の発達。
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