「妊娠すると、お酒を控えなさい」とよく聞きますよね。
どのお酒のパッケージにも、妊娠中は控えるように記載されています。
では、いつ妊娠するか分からない妊活中は、お酒を飲んでも良いのでしょうか。
結果から言えば、妊娠していないので飲んでも大丈夫ですよ!
しかし、飲むにはある程度リスクが伴うことを理解しておいたほうが良いでしょう。
今回は、妊活中のお酒の適量についてと、お酒による妊娠への影響をご紹介いたします。
妊活中のお酒の適量とは
妊活中はいつ赤ちゃんを授かるのか予測できません。
いつ出来てもおかしくない状況だからこそ、お酒の摂取は気をつけたいですよね。
妊活中は、妊娠しているわけではないのでお酒を飲んでも構いません。
しかし、飲みすぎはご用心!
では、妊娠に影響しない量のお酒の適量とはどのくらいなのでしょうか?
ビール1本は飲みすぎ!?

「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒は1日平均で純アルコール20g程度である。」
厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒のガイドライン」より
「1日純アルコール20g程度」というのは、日本人や欧米人を対象とした、疫学研究から導き出された数値です。
この、アルコール20gのお酒とは、以下の量を指します。
お酒の種類 | 量 |
---|---|
ビール・発泡酒 | 250ml(ロング缶半分) |
日本酒 | 80ml(0.5合) |
焼酎 | 50ml |
7%のチューハイ | 180ml(350ml缶半分) |
ウイスキー・ジン | 30ml(シングル1杯分) |
ワイン | 100ml(ワイングラス1杯弱) |
仕事終わりに、夕食と一緒に350ml缶を1本空けるのが楽しみの女性も多いと思いますが、女性は上記の量の更に半分程度にとどめておいた方が良いでしょう。
では、何故女性はアルコールの摂取量を減らさなければいけないのでしょうか。
アルコールが与える妊娠への影響
「妊娠中に飲酒は控えましょう」と、どのお酒のパッケージにも記載されていますよね。
それほど妊娠するとお酒は控えなくてはいけないのですが、どうしてかご存知でしょうか。
実は、アルコールは女性ホルモンと胎児の先天性疾患と大きく関係があるんです!
それでは、その理由を詳しく見ていきましょう。
女性ホルモンへの影響

妊娠するためには、女性ホルモンが生理周期に沿って正しく機能していなければいけません。
この女性ホルモンが正しく機能せず、分泌や分解されなくなると、不妊の原因となります。
女性ホルモンの「エストロゲン」は、卵胞を成熟させ、排卵の時に頚管粘液を増やして、精子が子宮に入りやすくする働きがあります。
また、女性ホルモンの「プロゲステロン」にも精子が入りやすくする働きがあり、着床後に子宮内膜の健康を維持し、早期流産を防ぐ働きがあります。
女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」は、妊娠するためには絶対に正常に働いていなければいけないんですね!
しかし、アルコールの過剰摂取によって、肝機能が低下すると、女性ホルモンが上手く分解されずに、妊娠に必用なこれらホルモンの働きが弱ってしまいます。
また、女性ホルモンが上手く分解されないと、脳内で女性ホルモンが十分に足りていると誤って判断してしまうため、新しい女性ホルモンが作られなくなるんです。
お酒を飲みすぎることで、女性ホルモンを乱れさすだけでなく、女性ホルモンの生成も阻害してしまうんですね!
胎児性アルコール症候群のリスクが高まる

「胎児性アルコール症候群」とは、妊娠中に母親がアルコールを摂取することで、肝機能が未熟の胎児の脳に、重大な障害を来たすことを言います。
<胎児性アルコール症候群のによる疾患>
- 顔面形成不全
- 学習障害などの発達障害
- 軽度から重度の知的障害 等
胎児性アルコール症候群は、どのくらいの量のアルコールを摂取したから発症するっという基準がありません。
たった1杯のお酒で発症したケースもあります。
逆を言えば、妊娠中にお酒さえ飲まなければ発症しないんです。
まだ妊娠していない妊活中でも、お酒は飲んでも大丈夫なのですが、量は基準値の半分程度の量にしておいたほうが無難です。
特に、高温期は飲酒を控えたほうが、妊娠した場合も安心ですよね!
30歳以上は不妊のリスクが3倍になる

スウェーデンの研究で、ストックホルム在住の7,393人を対象に、アルコールの摂取と不妊症のリスクに関する調査が18年間に渡って行われました。
この調査で、週に7単位(ビールなら中ビン7本)以上飲酒する女性は、週に2~7単位飲酒する女性よりも不妊症のリスクが58%高くなると発表されました。
また、週に2.5単位未満しか飲酒しない女性は、週に2~7単位飲酒する女性と比べて、不妊症のリスクが35%低かったとも発表されています。
さらに30歳未満であれば、アルコールの摂取量は妊娠に影響を及ぼさなかったのに対して、30歳を超えると、不妊症のリスクが約3倍も跳ね上がることが分かりました。
この研究から言えば、30歳以上の方で、妊活をしている方は、日ごろからお酒の摂取を控えたほうが良いでしょう。
まとめ
妊活中は、実際に妊娠しているわけではないのでお酒を飲んでも構いません。
しかし、飲酒は女性ホルモンに影響したり、妊娠した時に胎児性アルコール症候群の発生リスクを高める危険性があります。
そのため、妊活中は厚生労働省が定めている1日20g程度の飲酒(ビールなら500ml缶半分)の半分程度の量に減らすようにし、高温期は飲酒を控えたほうが良いでしょう。
30歳以上の場合は、飲酒によって不妊症のリスクが3倍に跳ね上がることが分かっているので、妊活中であれば飲酒はそもそも控えたほうが良いと言えます。
妊活中の飲酒にお悩みの皆さん、1日あたりのお酒の量を減らせば、毎日晩酌しても大丈夫ですよ!
ストレスのない範囲で加減してくださいね♪